韓国で導入が進んでいた「AIデジタル教科書」。一時は“世界初の本格導入”として注目されましたが、制度の見直しや慎重論も出てきていて、「結局、紙とデジタルどっちがいいの?」とモヤっとしている人も多いはず。この記事では、韓国のAI教科書の概要と、紙の教科書との学習効果の違いについて、一部の研究結果も紹介しつつ、子どもに合う学び方を一緒に考えていきます。
韓国のAIデジタル教科書ってどんなもの?ざっくり整理
まず「AIデジタル教科書って何?」というところから整理しておきます。韓国では、タブレット端末上で動くデジタル教科書にAI機能を組み合わせた「AIデジタル教科書」を、2025年から段階的に導入する方針が打ち出されていました。対象は小学校3・4年、中学1年、高校1年の英語・数学・情報(教科は時期によって多少変動)などで、児童・生徒一人ひとりに合わせた“個別最適化学習”を狙ったものとされています。
AI教科書の中身としては、
・理解度に合わせた問題出題
・発音や回答のデータを元にしたフィードバック
・教員向けの学習状況ダッシュボード
といった、いわゆる「アダプティブラーニング」に近い仕組みが特徴とされています。紙の教科書にはない“リアルタイムの分析”がポイントですね。
一方で、導入が進む中で、先生や保護者からは「画面時間が増えすぎないか」「データの扱いは大丈夫か」「準備期間が足りないのでは」といった懸念の声も出てきたと報じられています。その結果、韓国ではAIデジタル教科書の法的な位置づけが見直され、「公式な教科書」ではなく「補助教材」に近い扱いになったという報道もあります。
ここで大事なのは、「韓国のやり方が良い/悪い」と決めつけることではなく、
・AIデジタル教科書にどんなメリットと課題があるのか
・紙とデジタルをどう組み合わせると学びやすいのか
を、私たち自身の文脈で考えることかなと思います。
紙vsデジタル、学習効果はどう違う?研究結果をゆるく整理
「結局、紙とデジタル、どっちが頭に入りやすいの?」というのは、いろんな研究で議論されているテーマです。結論から言うと、“どちらが絶対に優れている”というよりは、「条件によって差が出ることもある」というのが今のところのざっくりした見立てです。
一部のメタ分析(複数研究をまとめて統計的に評価する研究)では、説明的な文章を読むとき、紙のほうが読解テストの成績が少しだけ良くなる、いわゆる「スクリーンインフェリアリティ(画面のほうがやや不利)」という傾向が報告されています。特にテスト時間が限られている場合や、情報量の多い教科書的な文章で、その差が出やすいとする研究もあります。
一方で、別のメタ分析では、「紙とデジタルで、平均すると理解度に大きな差は見られなかった」という結果も出ています。読者の年齢やテキストの種類、学習時間などの条件によって、差が出たり出なかったりしている、という整理ですね。
さらに、デジタル教科書側に軍配が上がる研究もあります。
・インタラクティブな仕掛け(動画・クイズ・ハイライト機能など)がうまく設計されている
・語彙学習や社会科など、図表やマルチメディアと相性が良い教科
といった条件では、デジタル教材を使ったほうが成績が良くなる、という報告もあります。
つまり、
- 紙:じっくり読む・複雑な内容を整理するのが得意
- デジタル:インタラクティブに試す・すぐにフィードバックをもらうのが得意
という“キャラの違い”がある、と考えるとイメージしやすいかなと思います。
個人的にはデジタルだと頭に残りにくい印象なんですよね…。
AI教科書ブームで忘れたくない「子どもに合うスタイル」の視点
韓国のAIデジタル教科書の話題を見ると、「日本もすぐ全部AIにしたほうがいいの?」「いやいや紙に戻したほうがいいの?」と、どうしても“0か100か”で考えたくなります。でも、学習効果の研究をざっくり眺めてみると、大事なのはメディアの優劣よりも、子どもとの相性と使い方なんじゃないかな、という印象です。
例えば、
- 紙の教科書+紙ノートで、書きながら整理するほうが落ち着くタイプ
- タブレット上で動画やクイズを挟みつつ進めたほうが、飽きずに続けられるタイプ
- 理解の確認テストだけAIに手伝ってもらうハイブリッドタイプ
など、同じクラスの中でもかなり好みや集中しやすいスタイルが分かれます。
AIデジタル教科書のいいところは、こうした個人差に合わせて「理解度が低いところを重点的に復習させる」「得意な単元はテンポよく進める」といった調整がしやすいところ。逆に、
- 画面時間が長くなりすぎる
- 通知や他アプリに気が散りやすい
- 物理的なページの“厚み”や“位置の感覚”がないので、全体像をつかみにくい
といった弱点もよく指摘されています。
なので現実的には、
- 基礎の読み込みや要点整理 → 紙の教科書・紙ノート中心
- 確認テストや個別の練習問題 → デジタル+AIのフィードバック
- 長時間の画面利用にならないよう、家庭でルールを決める
といった「ハイブリッド運用」が一番バランスがいいのかなと感じています。
親や先生の立場からできることとしては、
- 子どもがどのスタイルだと集中しやすそうかを一緒に観察する
- 「今日は紙でじっくり読む日」「今日はタブレットで問題演習の日」など、モードを分ける
- AIに任せっぱなしではなく、「どこが分かりにくかった?」と最後は人が対話でフォローする
このあたりを意識すると、紙・デジタル・AIの“いいとこ取り”がしやすくなります。
AIデジタル教科書は、「紙かデジタルか、どちらか一方を選ぶ」ためのツールというより、子ども一人ひとりに合った学び方を組み合わせるための新しい選択肢のひとつ、という立ち位置で見るのが現実的かなと思います。研究結果を見ても、紙・デジタルそれぞれに得意分野があり、使い方しだいで学習効果は変わる、というのが正直なところ。これからAI教科書の議論が広がる中で、「うちの子にはどんなスタイルが合いそう?」と、家庭単位で柔らかく考えていけるといいですね。

