音声AI「Recho」が3億円調達 コールセンター業務はどう変わる?

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音声AIスタートアップのRecho(レコー)が、SBIインベストメントをリードにシリーズAラウンドのファーストクローズで3億円を調達したと発表しました。 金融機関や行政機関向けにコールセンター業務を自動化する「AIボイスエージェント」を展開しており、今回の資金で開発とエンジニア採用をさらに強化していく方針です。この記事では、このニュースで気になる「コールセンター業務は具体的にどう変わるのか?」を、サラッと押さえたいビジネスパーソン向けに解説します。

Rechoってどんな会社?3億円調達のポイント整理

Rechoは、音声AIでコールセンターの受電・架電業務を自動化する「AI Voice Agent」「Voice AI Platform」を開発しているスタートアップです。

特徴をざっくりまとめると、

  • 自社開発の音声認識(ASR)・音声合成(TTS)・対話制御エンジン
  • 人間に近い自然な会話と、電話業務に必要な“正確さ”の両立
  • 金融・行政・大企業など、要求レベルの高い顧客への導入実績
    といったあたりがポイントです。

今回のラウンドでは、

  • 調達額:3億円(シリーズAファーストクローズ)
  • リード投資家:SBIインベストメント
  • 主な使途:エンジニア採用強化/音声AIプラットフォームの汎用化/エンタープライズ向け展開の加速
    とされています。

さらに、日本経済新聞などの報道では、日本政策金融公庫とみずほ銀行から計7,000万円の借入も合わせて実施し、金融向けコールセンター業務の代替を狙うと紹介されています。


音声AIでコールセンター業務はこう変わる【3つのポイント】

1. 「定型対応」をAIが24時間365日こなすようになる

RechoのAIボイスエージェントは、人間のオペレーターの代わりに受電・架電・一部の事務処理まで自律的にこなせるのが売りです。

例えばこんなイメージ:

  • 料金の支払い催促・リマインドコール
  • 口座残高や利用明細の照会(本人確認込み)
  • 住所変更やカード再発行などの“手続き案内”

人が対応していた「マニュアル通りの会話」が多い領域は、まずAIに置き換わりやすいゾーンです。
これにより、

  • 夜間/早朝などの時間帯でも受付が可能
  • 繋がるまでの待ち時間(待ち呼)が減る
  • 人件費がかかるシフト要員を減らせる
    といった変化が期待されています。

実際に、大手保険会社の事例では、導入から3カ月で顧客対応の約80%以上を自動化し、入金率が1.6倍になったという数字も公表されています。


2. オペレーターの役割が「単純対応」から「高度な相談」へシフト

音声AIが増えると、

電話の最初から最後まで人が対応する
という形から、
AIが一次対応 → 複雑なケースだけ人に引き継ぐ
という形に変わっていきます。

Rechoのプレスリリースやインタビューでも、

  • コールセンターの人件費はコストの70〜80%を占める構造的課題
  • AIエージェント導入により、コストの40〜50%削減を見込む導入企業もある
    といった話が出ています。

結果として、現場のオペレーターは、

  • 感情のケアが必要なクレーム対応
  • 商品の提案やクロスセルなど、判断が絡む会話
  • AIが苦手な“イレギュラー案件”
    へ集中しやすくなり、「数をさばく仕事」から「価値の高い会話」に寄っていく流れが強まりそうです。

3. 会話データの自動分析で、運用改善のPDCAが早く回る

Rechoは、音声AIそのものだけでなく、**会話の品質を自動評価してモデルを改善し続ける「Voice AI Platform」**を提供しているのもポイントです。

これにより、

  • どのフレーズで離脱しやすいか
  • どの説明だと成約率や入金率が高いか
  • どの時間帯・どの問い合わせ内容がボトルネックか
    といった情報を、ログ解析ベースで定量的に把握しやすくなります。

これまで「なんとなく現場感で回していた改善」を、
会話データをもとにした“数字を見ながらの改善サイクル”に変えていくイメージですね。


導入メリットだけじゃない?現場目線での注意点

もちろん、「音声AIを入れればすべて解決!」という話ではなく、現場での設計や運用次第で成果は大きく変わります。 Rechoやパートナー企業の資料から見える、注意ポイントも整理しておきます。

段階的な自動化が前提になる

エクレクトとの業務提携では、Zendeskなど既存のCRMと連携しつつ、「いきなり全部自動化」ではなく業務を段階的にAIに任せていく進め方が強調されています。

  • まずはFAQに近い簡易問い合わせからAI化
  • 次に、支払い案内や更新確認など“パターンが決まった”業務
  • 最後に、本人確認や複数システム連携が必要な処理へ拡大

というように、ユースケースごとにスコープを切って導入するのが現実的です。

システム連携・コンプライアンス対応がボトルネックになりがち

コールセンターは、

  • CRMや会員DB
  • IVR/PBXなどの電話システム
  • 認証・請求・各種業務システム
    とガッツリつながっています。Rechoのような音声AIも、ここにAPI連携してこそ本領発揮なので、社内システム側の整備状況にかなり影響される点には注意が必要です。

また、金融・保険・行政などの領域では、

  • 通話録音の保存ルール
  • 認証プロセス
  • 約款説明の正確性
    など、コンプライアンス要件も厳しめです。ここを満たしつつAIを動かすためには、

「AIを入れる前に、業務フローとルール自体を整理し直す」
というプロジェクトになる可能性が高いです。


音声AI Rechoの3億円調達は、「AIがコールセンターの人手不足やコスト構造に本気で切り込んでいくフェーズに入った」とも言えるニュースです。 定型的な電話対応の多くはAIボイスエージェントに任せ、人間のオペレーターはより付加価値の高い相談やクレーム対応に集中する――そんな役割分担が、これからの数年で一気に現実味を帯びてきそうです。

一方で、成果を出すには、業務フローの整理・システム連携・コンプライアンス対応・段階的な導入設計が欠かせません。この記事はあくまでサービス内容と業務インパクトの整理であり、特定企業への投資をすすめるものではありません。自社のコールセンター業務をイメージしながら、「どこまでAIに任せられそうか?」を考えるきっかけにしてもらえたらうれしいです。

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